「ムシの日」にあたりこの業界を語る座談会

ムシの日座談会 2023

参加してくださった方

名古屋市健康福祉局健康部環境薬務課環境衛生係係長
 
森 徹 氏
愛知県保健医療局生活衛生部生活衛生課環境衛生グループ課長補佐
金原 紀章 氏
当協会 会長​
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坂倉 弘康 氏
当協会 副会長​
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石川 一博 氏
名古屋市健康福祉局健康部環境薬務課環境衛生係係長
森 徹 氏
愛知県保健医療局生活衛生部生活衛生課環境衛生グループ課長補佐
金原 紀章 氏
当協会 会長​
坂倉 弘康 氏
当協会 副会長​
石川 一博 氏

6月4日は「ムシの日」 7月4日まで「ムシなし月間」

 あす6月4日は「ムシの日」。毎年、7月4日までを「ムシナシ月間」として、さまざまな啓発活動が展開される。人の生活に不快感や害をもたらすダニや蚊、ネズミなどの小さな生き物から、ハクビシンやアライグマといった農業に被害を及ぼす大きな生き物の駆除など守備範囲は広い。こうした活動を行う団体である、公益社団法人愛知県ペストコントロール協会(坂倉弘康会長、クラーク社長)と行政の代表者にお集まりいただき話を聞いた。

― まず、愛知県ペストコントロール協会の概要と活動内容を教えてください。

坂倉:当協会は1968年、ねずみ・害虫などの有害生物の防除を通じ、市民・県民の皆さまの福祉に寄与することを目的として設立され、今年で55年を迎えます。3月31日現在、正会員68社、賛助会員11社の合計79社で活動を行っています。  
近年はIPM(総合的有害生物管理)の手法により、薬剤のみに頼るのではなく、総合的な技術で害虫・害獣・害鳥が生息しにくい環境を整えることに力を入れています。また、有事の際には行政とタイアップして地域のお役に立てるよう、各種研修の場を設けて研さんを積んでいます。

― コロナ禍で中止を余儀なくされていたイベント「ムシの日」が再開しました。その概要と取り組みをご紹介ください。

石川:6月4日を「ムシの日」、6月4日から7月4日までを「ムシナシ月間」と銘打ち、日本全国のペストコントロール協会が害虫相談所の開設や虫供養などの啓蒙活動に取り組んでいます。当協会でも毎年6月4日に合わせてイベントを開催しており、本日、長久手市の愛・地球博記念公園内 三日月休憩所で「ムシの日イベント」を開催します。厚生労働省、環境省、愛知県、名古屋市の後援のもと、私どもが連携協定を締結している中部大学応用生物学部の学生さんと一緒に、市民の皆さんに楽しみながら虫について知っていただけたらと考えています。

― 愛知県、名古屋市では、県民、市民に、どのようにペストコントロールを周知されていますか。

金原:IPMの考え方は建築物衛生法で定められています。愛知県においても、2008年3月に「県有施設における農薬・殺虫剤等薬剤適正使用ガイドライン」を定め、農薬や薬品をできる限り使わない防除方法を研修会で周知し、現在ではほとんどの県有施設でIPMの考えにのっとった管理を行っています。食品を取り扱う営業施設に対しては、食品衛生法にIPMの管理が盛り込まれていますので、食品衛生講習会などで引き続きIPMの考え方を啓発してまいります。  
県民の皆さまに対しては、市町村で行われる健康まつりに保健所の職員が出向いて、ダニや衛生害虫等のパネルや標本を展示し、普及啓発を図っています。具体的な駆除方法を尋ねられた場合は、ペストコントロール協会を紹介し、専門家への相談を勧めています。

森:名古屋市では毎年、スズメバチ類の危害防止運動のほか、蚊やゴキブリなどの防除運動を展開しています。今後も市民向けの講習会や啓蒙・啓発活動、情報発信を積極的に行ってまいります。

― 協会に寄せられた相談件数と概要は。

石川:22年度の相談件数は1972件で、前年度の1681件に対し17%増となりました。内訳としては、コロナ消毒に関する相談は前年度の44件から10件へ激減しました。一方、増加したのはハチ類の相談で993件(前年度722件・38%増)、アライグマ、ハクビシン、イタチなどの有害動物に関する相談が111件(同78件・42%増)となっています。

坂倉:ハチに関する相談が増えていることもあり、協会設立55周年記念事業として、ハチの生息調査を計画しています。結果は報告書としてまとめ提供させていただきますので、ぜひ環境衛生行政に役立ててください。

石川:当協会では、電話相談も含めハチの年間駆除実績を把握しています。会員も個別に実績があり、それらをまとめるとかなり膨大な量になります。地図ソフトなどを駆使してプロットすることで、科学的に意味のあるデータになると考えています。当協会員がデータ収集を行い、プロジェクトチームで考察を行い、学術的なものになればと考えています。

森:名古屋市では、感染症対策・調査センターが毎年ハチトラップを用いた生息調査を公園や緑地で行っていますが、都市部のプロットは行っておらず、市だけでは学術調査は難しいと感じていました。非常に参考になる取り組みに期待しています。

― 防疫活動には、行政と協会の協力態勢が欠かせません。行政から協会に望むことは

金原:愛知県は18年3月に「感染症発生時における消毒業務に関する協定」を協会と締結しており、消毒や感染症を媒介する昆虫などの駆除、技術的支援などを有事の際にお願いすることになっています。
今後、外国から大勢の人が入国するようになると、有害生物の侵入リスクも増えてきます。一番心配されているのがトコジラミで、これまでの薬剤が効かないスーパートコジラミの発生を危惧しています。旅館業に対する監視を行う保健所にも相談が増えそうですので、その際は専門的知識を持つ協会員を紹介させていただきたいと考えています。

森:防疫活動について、協会でも昨年10月に研修会を開催されました。また、11月には名古屋市と協会との併催研修を3年振りに開催しました。技術と経験の継承のためにも、研修や訓練を引き続き継続していただきたいと思います。
名古屋市も13年に協会と防疫活動に関する協定を結んでいます。有事の際にはご協力をいただきながら、われわれも頑張って取り組んでいきたいと考えていますので、今後ともよろしくお願いします。

― 協会としていかがですか。

坂倉:私どもは、名古屋市はじめ県内28市町村と「災害等発生時における防疫活動の協力に関する協定」を締結しています。広域的な災害の場合は、日本ペストコントロール協会が統括して、激甚度に応じて各自治体のために働く体制を整えています。そのために最も大事なのは、平時のコミュニケーションです。お互いに担当者の顔が分かり、日頃から電話一本かけられる体制。さまざまな講習会、研修会を通じてそのような関係を築き、技術と知識の向上、倫理観の高揚に努めてまいります。

― ありがとうございました。

6月4日は「ムシの日」、7月4日まで「ムシナシ月間」
ペストコントロール特集/企画・制作 中部経済新聞社 企画開発局
相談件数17%増 ハチ生息調査計画
愛・地球博記念公園内 三日月休憩所 きょう「ムシの日イベント」開催

ペストコントロール座談会出席者
 公益社団法人愛知県ペストコントロール協会会長 坂倉 弘康氏
 公益社団法人愛知県ペストコントロール協会理事 石川 一博氏
 愛知県保健医療局生活衛生部生活衛生課環境衛生グループ課長補佐 金原 紀章氏
 名古屋市健康福祉局健康部環境薬務課環境衛生係係長 森 徹氏

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